謝る親でも毒親?コントロールの見抜き方

「ごめんね」

親がそう言ってくれた。謝ってくれた。だから、もう許さなければ——。

でも、なぜか心がモヤモヤする。何も変わっていない気がする。また同じことが繰り返される予感がする。

「謝ってくれたのに、許せない自分が悪いのかも」
「これ以上何を望むの?と言われそう」
「親は反省しているはず。私が我慢すればいい」

そんな風に、自分を責めていませんか?

もしそうだとしたら、知ってほしいことがあります。

謝罪は、コントロールの手段にもなり得る——ということです。

「謝ってくれるから毒親ではない」と思っていたあなた。でも心のどこかで「何かがおかしい」と感じていたのではないでしょうか。その違和感は、正しいのかもしれません。

この記事では、謝罪を使ったコントロールの実態と、本当の謝罪との違いを詳しく見ていきます。読み終わる頃には、あなたが感じていた矛盾の正体が見えてくるはずです。

「謝る親は毒親じゃない」という誤解

私たちは子供の頃から「悪いことをしたら謝りなさい」と教えられてきました。だから、「謝る人=反省している人」「謝罪=誠意の証」だと信じてしまいがちです。

でも、現実はそう単純ではありません。

心理学の研究では、謝罪者は必ずしも真正な気持ちで謝っているわけではないことが明らかになっています。自分が悪くて謝る場面でさえ、心の底から謝罪しているとは限らないのです。

謝罪という「行為」があっても、そこに本当の反省や改善の意思がなければ、それは形だけのもの。さらに、謝罪は相手をコントロールする手段としても使われることがあり、被害者を混乱させたり、罪悪感を植え付けたりする効果があります。

最も重要なのは、謝罪の後に行動が変わるかどうかです。

謝罪が一時的に怒りを抑制する効果はあっても、生理的・心理的な怒りまでは完全に抑制できないことが研究で示されています。つまり、言葉だけの謝罪では、傷ついた心は癒えないのです。

本当の謝罪には、行動の変化が伴います。同じ過ちを繰り返さないための具体的な努力——それがあって初めて、謝罪は意味を持ちます。

この視点を持って、次のセクションでは具体的なパターンを見ていきましょう。


コントロールとしての謝罪のパターン

謝罪を使ったコントロールには、様々な形があります。共通しているのは、謝罪の言葉はあるのに、子供の気持ちより親の都合が優先されるという点です。

以下、代表的な7つのパターンを見ていきましょう。「これはうちの親だ」と感じるものがあるか、確認してみてください。

【パターン1: 責任転嫁型】

「ごめんね、でもあなたが○○するから」
「悪かったわ、でもあなたもね」

謝罪の後に必ず「でも」「だって」が続き、結局子供に責任を押し付けます。

具体例:

「昨日は怒鳴ってごめんね。でも、あなたがちゃんと話を聞かないからイライラしちゃうのよ」

「言い過ぎたわ。でも、あなただって私を怒らせるようなことばかりするじゃない

「悪かったと思ってるわ。あなたがもっと気を遣ってくれれば、私だってこんなに怒らずに済むのに」

子供は「親を怒らせた自分が悪い」「私がもっと良い子だったら」と、自分を責めるようになります。

【パターン2: 自己憐憫型】

「ごめんね、どうせ私が悪いんでしょ?」
「私なんか母親失格よね」(と言いながら泣く)

親が被害者の立場に立ち、子供が慰める側に回らざるを得ない状況を作ります。

具体例:

「ごめんなさい。私ってダメな母親よね。何をやっても間違ってる」(と言いながら泣き出す)

「悪かったわ。どうせ私は何をやってもうまくいかないのよ

「ごめんね。でも、お母さんも一生懸命やってるのに、全然うまくいかなくて辛いの

「そんなことないよ」「お母さんは悪くないよ」——子供にそう言わせることで、親は自分の行為を正当化し、本当の問題から目を逸らします。子供は自分の気持ちを訴えられず、親の感情ケアが優先されるのです。

【パターン3〜4: 不機嫌・繰り返し型】

この2つは、謝罪を「リセットボタン」や「免罪符」として使う点で共通しています。

不機嫌撒き散らし:

「はい、はい、ごめんね!」(明らかに不機嫌な態度で)

「謝ればいいんでしょ、謝れば!もう、これで満足?

「ごめんなさい」(と言いながらドアをバタンと閉める、物を乱暴に置く)

謝罪の言葉とは裏腹に、態度や口調で「私は悪くない」「謝りたくない」というメッセージを送っています。子供は親の不機嫌さに耐えきれず、「もういいよ」と言わざるを得なくなります。

即座の繰り返し:

朝:「昨日は怒鳴ってごめんね。もうしないから」
夜:また同じように怒鳴る

翌日:「さっき謝ったでしょ?なんでまだそんな顔してるの

「ごめんって言ったじゃない。いつまで根に持ってるの?

謝れば、それまでの行為がなかったことになる——そう思っているのです。本当に反省していれば、同じことは繰り返しません。

【パターン5: 過剰な謝罪・演技型】

「本当にごめんなさい、ごめんなさい!」(泣き崩れる)
お母さんを許してちょうだい。もう死にたい…」

こんなひどい母親で、あなたが可哀想」(と何度も繰り返す)

「許してくれるまで、ここから動きません」(子供の部屋のドアの前に座り込む)

過剰な謝罪は、子供の感情を揺さぶり、冷静な判断を奪います。「ここまで謝っているのだから、許さなければ」というプレッシャーを与えるのです。大げさな演技は、子供の注意を本当の問題から逸らします。「親がこんなに苦しんでいる」という事実が前面に出て、「親が何をしたか」という本質が見えなくなります。

【パターン6〜7: 条件付き・時間稼ぎ型】

最後の2つは、謝罪を「取引」や「その場しのぎ」として使うパターンです。

条件付き謝罪:

あなたも悪かったって認めるなら、私も謝るわ」

まずあなたが謝りなさい。そうしたら私も謝るから

お互い様でしょ?だから二人とも謝りましょう

親子関係には、本来、権力の差があります。親が子供を傷つけたとき、それは対等な関係の喧嘩ではありません。しかし、条件付き謝罪は、この権力差を無視します。「お互い様」という言葉で、親の責任と子供の「落ち度」を同列に扱い、親の責任を軽くしようとします。

時間稼ぎ謝罪:

子供が怒って実家に帰らなくなった時だけ:
「ごめんなさい。もう帰ってきて

子供が泣きながら訴えた時だけ:
「分かった、分かった。悪かったわ。もう泣かないで

そして数週間後、また同じことが繰り返される…

本当に反省しているのではなく、「子供が離れていくこと」「怒りが表面化すること」を恐れているだけです。謝罪は、子供を引き留めるため、その場を収めるための道具として使われています。


これらのパターンに共通するのは:

  1. 言い訳や条件が付いている
  2. 子供の気持ちより親の都合が優先される
  3. 行動は一切変わらない

次に、これらと本物の謝罪との違いを見ていきましょう。


本当の謝罪と偽りの謝罪の違い

では、本当の謝罪とは何でしょうか。偽りの謝罪とどう違うのでしょうか。

本当の謝罪偽りの謝罪
責任自分の非を明確に認める言い訳がセットになっている
相手の気持ち相手がどう傷ついたか理解しようとする「謝ったんだから」と相手に要求する
具体性何が悪かったか具体的に分かっている漠然と「ごめん」と言うだけ
態度誠実で、相手の反応を待つ不機嫌、大げさ、または投げやり
行動同じことを繰り返さないよう努力する何度も同じことを繰り返す
目的関係を修復し、信頼を取り戻したいその場を収めたい、相手を黙らせたい
その後行動が変わる行動は一切変わらない

この表で最も重要なのは、最後の項目「その後」です。

本当の謝罪には、行動の変化が伴います。言葉がどんなに丁寧でも、同じ過ちを何度も繰り返すなら、その謝罪は形だけです。

繰り返しになりますが、これが謝罪の本物と偽物を見分ける最も確実な基準です。


なぜ謝罪をコントロールに使うのか

親がこうした偽りの謝罪をする理由は、主に3つあります。

1. 健全な謝罪を学んでこなかった

親自身も、本当の謝罪を見たことがない可能性があります。自分の親もそうだった——世代連鎖の中で、形だけの謝罪しか知らないのです。

本当の謝罪とは何か、どうすれば関係を修復できるのか、親自身が学んでこなかったのです。

2. 「良い親」でありたいが、変わりたくはない

「子供を傷つける悪い親」というレッテルは嫌。世間体も気になる。でも、自分の非を認めて本当に変わることはもっと嫌。

特に、自己愛の強い親や、完璧主義の親は、自分が間違っていたと認めることができません。「私は正しい」「私は良い親」——そのイメージを守るために、形だけの謝罪で済まそうとします。

だから、「謝罪する親=良い親」という形を作ろうとします。謝っているのだから、良い親のはず——そう自分にも周りにも示したいのです。

3. 感情のコントロールができない

衝動的に怒鳴ったり、機嫌次第で態度を変えたりする——それは感情のコントロールができていないということです。

その場では謝っても、また同じ状況になれば同じように感情が爆発します。自分の感情をコントロールする力がないので、行動を変えることができないのです。

つまり、謝罪はあっても、変わる力も意思もない——これが、偽りの謝罪を繰り返す親の本質です。


謝罪を受けた子供の混乱

親から謝罪を受けたとき、あなたはどんな気持ちでしたか?

「謝ってくれたから、許さなければ」——そう思いながらも、心の奥では「でも、何も変わっていない」と感じていたのではないでしょうか。

この矛盾した感情は、あなたが間違っているからではありません。現実が矛盾しているのです。

期待と裏切りのサイクル

「今度こそ変わってくれるかも」と期待して、また信じてみる。でも、また同じことが繰り返される。このサイクルを何度も経験すると、心はより深く傷つきます。

期待しなければ傷つかない——そう学習し、心を閉ざすようになることもあります。

「許さなければ」というプレッシャーと罪悪感

親が謝っているのに許さないと、「あなたの方が大人げない」「いつまで根に持っているの」と責められることもあります。周りからも「親が謝っているのに」と言われ、自分が間違っているように感じてしまいます。

「許すべきなのに、許せない」「まだモヤモヤする自分がおかしい」——そうやって、あなたは自分の正当な感情を否定してきたのではないでしょうか。

でも、あなたの感情は正しいのです。心が「何かおかしい」と訴えているのは、本当に何かがおかしいからです。


見抜くためのチェックポイント

親の謝罪が本物かどうか、以下の質問で確認してみてください。

行動について

□ 謝罪から数ヶ月経って、親の行動は変わったか?
□ 同じことを3回以上繰り返していないか?

言葉について

□ 謝罪に「でも」「だって」が付いていないか?
□ 「謝ったのに」と謝罪を武器に使っていないか?

あなたの気持ちについて

□ 謝罪を受けた後、あなたが罪悪感を感じていないか?
□ 親の感情をあなたがケアする役割になっていないか?
□ 謝罪の瞬間だけ「良い親」で、後は元通りになっていないか?

一つでも当てはまるなら、それは形だけの謝罪かもしれません。


あなたの違和感は正しい

「謝ってくれているのに、なぜかモヤモヤする」——その感覚は、正しかったのです。

あなたの心は、言葉ではなく行動を見ていました。表面ではなく、本質を感じ取っていました。形だけの言葉と、変わらない行動の矛盾に気づいていたのです。

その違和感を、もう否定しないでください。あなたの感覚は、正しいのです。

親が謝るかどうか——それは、毒親かどうかの判断基準ではありません。重要なのは、あなたが傷つけられたかどうか、そしてその後も傷つけられ続けているかどうかです。

謝罪の有無ではなく、あなたの経験こそが真実なのです。


どう対処すべきか

では、形だけの謝罪に対して、どう対処すればよいのでしょうか。

1. 言葉ではなく、行動を見る

前述したチェックポイントを使って、親の謝罪を客観的に評価してください。感情に流されず、事実を見るのです。

  • 行動は変わったか?
  • 同じことを繰り返していないか?
  • 言い訳がついていないか?

これらの事実が、答えを教えてくれます。

重要なのは、少なくとも半年から1年、同じ過ちを繰り返さないかどうかです。それが、謝罪の本気度を測る基準です。言葉は簡単に言えます。でも、行動を変えることは簡単ではありません。だからこそ、行動こそが真実を語るのです。

2. 「許さなければならない」から自由になる

謝罪を受けたからといって、許す義務はありません。

許すか許さないかは、あなたが決めることです。親でも、周りの誰でもありません。

「謝ったのに許さないなんて」——そう言われても、あなたには許さない権利があります。特に、行動が変わっていない謝罪に対しては、許す必要はまったくありません。

3. 感情的に巻き込まれない

親が大げさに泣いたり、自分を責めたり、あなたに慰めを求めたりしても——親の感情は、親の問題です。あなたが処理すべきものではありません。

「お母さんが可哀想」「こんなに苦しんでいる」——そう感じても、それはあなたの責任ではありません。

一歩引いて、冷静に状況を見る。これができるようになると、コントロールから抜け出せます。

必要なら、距離を取ることも選択肢です。物理的な距離(会う頻度を減らす、一人暮らしをする)、心理的な距離(期待しない、感情的に巻き込まれない)——どちらも、自分を守るための正当な選択です。

「親なんだから」「血がつながっているんだから」——そういう理由で、あなたが傷つき続ける必要はありません。


まとめ——形だけの謝罪を見抜き、自分を守る

長い間、あなたは混乱してきたかもしれません。「謝ってくれているのに、なぜこんなに辛いのか」と。

でも今、その理由が見えてきたのではないでしょうか。

謝罪の「形」はあった。でも「中身」がなかった——それが真実だったのです。

この記事で最も伝えたかったことは、以下の3つです:

  1. 謝罪の有無は、毒親かどうかの基準ではない——重要なのは行動の変化
  2. あなたの違和感は正しかった——形だけの謝罪を見抜いていた
  3. 許さなくていい——謝罪を受けても、許す義務はない

あなたは一人ではありません。同じような経験をしている人は、たくさんいます。

そして、ここから前に進むことができます。偽りの謝罪を見抜き、自分を守り、本当に大切にしてくれる人との関係を築いていく——それが、あなたの権利です。

一歩ずつ、あなたのペースで。焦らなくて大丈夫です。


次回の記事では、「夫婦仲の悪さが子供に与える影響」について解説します。

親が直接あなたを傷つけなくても、両親の関係が悪いことで受ける影響があります。「両親の喧嘩を見て育った」「いつも家庭内に緊張感があった」——そんな経験が、あなたにどんな影響を与えてきたのか、一緒に見ていきましょう。

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