大人の愛着スタイル自己チェック(4タイプ)

愛着障害・愛着スタイル

前回までの記事で、愛着理論の基礎
そして機能不全家族で安全基地が崩れるメカニズムについて見てきました。

幼少期の親との関係が、大人になってからの人間関係のパターンを作る。そして、そのパターンは「愛着スタイル」として分類できる——そこまで理解が深まったのではないでしょうか。

でも、ここで一つ疑問が湧くかもしれません。

「理論はわかった。でも、私は一体どのタイプなんだろう?」

この記事では、あなた自身の愛着スタイルを知るための自己チェックツールを提供します。


なぜ自分の愛着スタイルを知ることが大切なのか

気づきが変化の第一歩

あなたは今まで、こんな経験をしたことがありませんでしたか。

恋愛でいつも同じパターンを繰り返してしまう。
友人関係でうまく距離感が取れない。
職場で過度に緊張してしまう。
親密になると怖くなる。

「なぜ自分はこうなんだろう」と悩んでも、答えが見つからない。
そんな時「これは自分の性格だから仕方ない」と諦めてしまったことはないでしょうか。

でも、その「パターン」には理由があります。それが、愛着スタイルなのです。

自分の愛着スタイルを知ることは、自分自身を理解する大きな一歩です。

気づいていないパターンは、無意識に繰り返されます。でも、気づいたパターンには、「今回はどうするか」を選ぶ余地が生まれるのです。

これはラベルではなく、理解のツール

ここで重要なことをお伝えします。

この自己チェックは、あなたにラベルを貼るためのものではありません。

「あなたは不安型です」「あなたは回避型です」
そう決めつけて、「だからこうなんだ」で終わらせるためのものではないのです。

これは、自己理解を深めるためのツールです。

自分がどんなパターンを持っているのか。なぜそうなったのか。どうすれば変われるのか——そのための手がかりを得るためのものなのです。

変化は可能

もう一つ、大切なことがあります。

愛着スタイルは、固定されたものではありません。

幼少期に形成されたパターンは確かに強固です。でも、変えることができます。実際に、多くの人が「獲得された安定型」——幼少期は不安定な愛着だったにもかかわらず、大人になってから安定型を獲得した人々——になっています。

詳しくは後半の記事で
具体的な変化の方法については、回復ステップ① 安全基地を作り直す以降の記事で詳しく解説します。

つまり、今どのタイプであっても、変化の道は開かれているのです。

では、自己チェックを始めてみましょう。


チェックリストの使い方

チェックリストを使う前に、いくつかのポイントをお伝えします。

「当てはまる数」ではなく「共鳴の度合い」

このチェックリストは、
単純に「当てはまる項目が多いタイプ」を選ぶものではありません。

大切なのは、どのタイプの説明に最も深く共鳴するかです。

「あ、これは本当に自分のことだ」と感じるタイプ。読んでいて心がざわつくタイプ。「なぜこんなに私のことを知っているんだろう」と思うタイプ——それがあなたの主な愛着スタイルかもしれません。

完全に一つに当てはまらなくても大丈夫

人間は複雑です。完全に一つのタイプにだけ当てはまる人は、むしろ少数です。

多くの人は、主なタイプがありながらも、他のタイプの要素も持っています。
たとえば、「基本は不安型だけど、親しくなりすぎると回避型の面も出る」ということもあるのです。

また、相手や状況によって変わることもあります。
恋愛では不安型だけど、友人関係では安定型、職場では回避型——そんなこともあり得ます。

これは絶対的な診断ではない

この自己チェックは、専門的な診断ツールではありません。
あくまで自己理解のための参考です。

もし、より正確な評価が必要だと感じたら、専門家(臨床心理士やカウンセラー)に相談することをお勧めします。Adult Attachment Interview (AAI)やExperiences in Close Relationships (ECR)尺度といった、より精密な評価方法もあります。

では、始めましょう

リラックスして、正直に答えてください。
「こうあるべき」ではなく、「実際にどうか」を見つめてみましょう。


4つの愛着スタイル自己チェック

💡 チェックの前に
リラックスして、正直に答えてください。
「こうあるべき」ではなく、「実際にどうか」を見つめてみましょう。


🔵 安定型(Secure)

基本特徴

  • 自己イメージ: 肯定的(「自分には価値がある」)
  • 他者イメージ: 肯定的(「他者は信頼できる」)
  • 一言で表すと: バランスが取れており、親密さと自立の両方を心地よく感じる

✓ チェックリスト

以下の項目について、「当てはまる」「やや当てはまる」「当てはまらない」で答えてみてください。

  1. 一人の時間も楽しめるし、誰かといる時間も心地よい
  2. 人間関係で適度な距離感を保てる
  3. 相手に依存しすぎず、でも必要な時は頼れる
  4. 自分の感情を適切に表現できる
  5. 相手の感情も受け止められる
  6. 恋愛で相手を過度に束縛したり、逆に突き放したりしない
  7. LINEの返信が遅くても「忙しいんだろう」と思える
  8. 意見の違いがあっても、関係が壊れるとは思わない
  9. 困った時は素直に「助けて」と言える
  10. 相手が困っている時、適切にサポートできる
  11. 親密になることを自然に受け入れられる
  12. 見捨てられる不安をあまり感じない
  13. 自分の弱さを見せることに過度な抵抗がない
  14. 相手の要求を「重い」とも「当然」とも極端に感じない
  15. 対立があっても、話し合いで解決できると思える
  16. 相手を理想化したり、過度に失望したりしない
  17. 関係が安定していることを心地よく感じる
  18. 自分の価値を、相手の評価だけで測らない

このタイプの人の内面

こんな風に感じていませんか。

「恋人や友人といるのは楽しいけど、一人の時間もそれはそれで大切だと思う」

「相手を信頼しているし、自分も信頼されていると感じる。特別なことをしなくても、それでいいと思える」

「喧嘩することもあるけど、『この関係は終わりだ』とは思わない。話せば分かり合えると思っている」

もしこうした感覚があるなら、あなたは安定型の愛着スタイルを持っているかもしれません。

なぜこうなったのか

安定型は、親が一貫して応答的で、子供のニーズに適切に応えてきた環境で形成されます。

泣いたら抱っこしてくれた。
困ったら助けてくれた。
喜びを共有してくれた。

こうした経験を通じて、「自分は価値がある」「他者は信頼できる」という信念が育まれたのです。

前回の記事で説明した「安全基地」が、しっかりと機能していたということです。

このタイプの強み

安定型の強みは、何と言ってもバランスの取れた人間関係を築けることです。

依存しすぎず、距離を取りすぎず。感情を適切に表現でき、相手の感情も受け止められる。危機があっても、冷静に対処できる。

また、レジリエンス(回復力)が高く、困難な状況からも比較的早く立ち直れます。自己肯定感が安定しているため、失敗しても「自分はダメだ」と深く落ち込みすぎません。

【Aさん(30歳・女性)の場合】
「彼氏とは週に2〜3回会います。会えない日は、それぞれ自分の時間を楽しんでいます。彼が友達と遊びに行く時も、『楽しんできてね』と送り出せます。もちろん時々喧嘩もしますが、『この人とは分かり合えない』とは思いません。話せば、いつも解決策が見つかります」

Aさんは、両親が共に安定した関係を築いており、Aさんのニーズにも一貫して応えてくれました。その結果、Aさんは安定型の愛着スタイルを持つことができたのです。


🟠 不安型(Preoccupied / しがみつき型)

基本特徴

  • 自己イメージ: 否定的(「自分には価値がない」)
  • 他者イメージ: 肯定的(「他者は価値がある、必要だ」)
  • 一言で表すと: 見捨てられることを強く恐れ、相手の愛情を常に確認したがる

✓ チェックリスト

  1. LINEの返信が遅いと、嫌われたのではと不安になる
  2. 「本当に好き?」「本当に友達だと思ってる?」と何度も確認したくなる
  3. 相手がいないと、自分の価値を感じられない
  4. 見捨てられることを強く恐れる
  5. 相手の機嫌や態度に敏感で、些細な変化も見逃さない
  6. 一人でいると孤独で耐えられない
  7. 相手のために自分を変えようとすることが多い
  8. 相手の予定や行動を把握していないと不安
  9. 別れを告げられることが、何よりも怖い
  10. 自分よりも相手の気持ちを優先してしまう
  11. 「愛されている」という確信が持てない
  12. 相手が他の人と楽しそうにしていると嫉妬してしまう
  13. 自分の不安を相手にぶつけてしまうことがある
  14. 相手の愛情表現が少ないと「もう好きじゃないのでは」と思う
  15. 関係を維持するために、無理をしてしまう
  16. 相手の問題を、自分の問題のように抱え込む
  17. 「必要とされていない」と感じると、深く傷つく
  18. 恋人や親友がいないと、人生が空虚に感じる

このタイプの人の内面

こんな風に感じていませんか。

「彼(彼女)のことが好きすぎて、四六時中考えてしまう。返信が来ないと『何か悪いことをしたかな』『他に好きな人ができたのかな』と不安で仕方ない」

「友達といても、『本当は私のこと面倒だと思っているんじゃないか』と心配になる。嫌われたくないから、頼みごとは断れない」

「一人でいると孤独で、誰かに必要とされていないと自分に価値がないように感じる」

もしこうした感覚があるなら、あなたは不安型の愛着スタイルを持っているかもしれません。

なぜこうなったのか

不安型は、親からの愛情が不安定だった環境で形成されます。

ある時は優しく、ある時は冷たい。今日は機嫌がいいけど、明日はどうか分からない——こうした予測不可能な養育環境で、子供は「愛情はいつ失われるか分からない」と学習します。

だから、常に相手の愛情を確認し続けなければ安心できないのです。幼少期に経験した「不安定な愛情」を、大人になってからも再現してしまいます。

このタイプの強み

不安型の人の強みは、深い共感力と関係への献身です。

相手の感情に敏感なため、相手が何を必要としているか察知する能力に長けています。また、関係を大切にする気持ちが強く、相手のために尽くすことができます。

気配りができ、相手の小さな変化にも気づけるため、「優しい人」「思いやりのある人」と評価されることも多いでしょう。

【Bさん(29歳・女性)の場合】
「彼ができると、毎日が不安です。彼が既読スルーしただけで、『嫌われたかも』と思ってしまいます。彼が友達と遊びに行くと言うと、本当は行ってほしくない。でも、束縛したくないから我慢します。その間ずっとモヤモヤして、彼が帰ってきたら『楽しかった?』と聞きながら、本当は『私といるより楽しかったの?』と聞きたい自分がいます」

Bさんの母親は、気分屋でした。機嫌がいい日は優しいけれど、機嫌が悪い日は無視される。何が原因で機嫌が変わるのか、幼いBさんには分かりませんでした。だから常に母親の顔色を伺い、「今日は大丈夫かな」と確認し続けていました。

その習慣が、恋愛でも再現されているのです。


🟢 回避型(Dismissing / 距離を置く型)

基本特徴

  • 自己イメージ: 肯定的(「自分は一人でやっていける」)
  • 他者イメージ: 否定的(「他者は信頼できない、必要ない」)
  • 一言で表すと: 親密さを避け、感情的な距離を保とうとする

✓ チェックリスト

  1. 「一人の方が楽」と感じることが多い
  2. 親密になると息苦しく感じる
  3. 感情を表現するのが苦手、または面倒だと感じる
  4. 弱みを見せたくない
  5. 誰かに頼ることに強い抵抗がある
  6. 相手の感情的な要求を「重い」と感じる
  7. 恋愛が深まると、距離を置きたくなる
  8. 「本当の自分」を見せることが怖い
  9. 自分の問題は、自分で解決するべきだと思う
  10. 相手に期待しないようにしている
  11. 「愛情」という言葉に抵抗がある
  12. 恋人や友人に「もっと気持ちを話して」と言われることが多い
  13. 関係が深まる前に、自分から終わらせてしまうことがある
  14. 人と深く関わるより、仕事や趣味に没頭する方が楽
  15. 相手が感情的になると、どう対応していいか分からない
  16. 「何を考えているか分からない」と言われる
  17. 誰かに心配されると、うっとうしく感じる
  18. 親密な関係は、最終的に自分を傷つけると思っている

このタイプの人の内面

こんな風に感じていませんか。

「恋人ができても、3ヶ月くらい経つと息苦しくなってくる。
『もっと気持ちを話して』『何を考えているか分からない』と言われるけど、そもそも自分の気持ちをさらけ出すことに意味を感じない」

「友達といるのは楽しいけど、深い話は避けたい。
自分の悩みは自分で解決するし、相手の悩みも正直面倒くさい」

「一人でいる方が、気を遣わなくていいし、自由で楽だと思う」

もしこうした感覚があるなら、あなたは回避型の愛着スタイルを持っているかもしれません。

なぜこうなったのか

回避型は、親が拒絶的だった、または感情的に不在だった環境で形成されます。

泣いても誰も来てくれなかった。甘えようとすると「うっとうしい」と言われた。感情を表現すると「大げさ」と否定された——こうした環境で、子供は「頼っても無駄」「感情を見せると傷つく」と学習します。

だから、自分を守るために感情を抑え、誰にも頼らず、一人で生きていこうとするのです。

このタイプの強み

回避型の人の強みは、高い自立性と冷静な判断力です。

感情に振り回されにくいため、危機的状況でも冷静に対処できます。
また、自己管理能力が高く、一人で多くのことを成し遂げられます。

他人に依存しないため、「頼りになる人」「しっかりしている人」と評価されることも多いでしょう。仕事や専門分野で高い成果を上げる人も少なくありません。

【Cさん(34歳・男性)の場合】
「彼女ができても、長続きしません。最初は楽しいのですが、3ヶ月くらい経つと息苦しくなってきます。彼女が『もっと気持ちを話して』『何を考えているか分からない』と言ってくるようになると、面倒くさくなってしまう。結局、自分から連絡を減らして、自然消滅するパターンが多いです」

Cさんの父親は、感情を見せない人でした。仕事一筋で、家にいても会話はほとんどない。母親は「お父さんは忙しいから」と言うだけ。Cさんが何か話しかけても、「後にしろ」と言われるか、無視されるか。いつしかCさんは、「自分の気持ちを話しても仕方ない」と学習しました。

その習慣が、恋愛でも再現されているのです。


🔴 恐れ回避型(Fearful / 近づきたいけど怖い型)

基本特徴

  • 自己イメージ: 否定的(「自分には価値がない」)
  • 他者イメージ: 否定的(「他者は信頼できない、傷つけられる」)
  • 一言で表すと: 親密さを強く求めながらも、同時に強く恐れる

✓ チェックリスト

  1. 親密さを求めながらも、恐れている
  2. 相手を理想化したかと思えば、些細なことで激しく失望する
  3. 「好き」と「怖い」が同時に存在する
  4. 関係が安定すると、逆に不安になる
  5. 感情の揺れが激しく、自分でもコントロールできない
  6. 自分から関係を壊してしまうことがある
  7. 「この人しかいない」と思い込んだり、「やっぱりダメだ」と絶望したりを繰り返す
  8. 相手が近づいてくると逃げたくなり、離れると追いかけたくなる
  9. 愛されたいけど、愛されることが怖い
  10. 相手が優しくしてくれると「いつか裏切られる」と思ってしまう
  11. 人間関係がジェットコースターのように激しい
  12. 相手の小さな言動で、関係の全てが変わったように感じる
  13. 「もう終わりだ」と思っても、次の日には「やり直したい」と思う
  14. 自分が愛される価値があるとは思えない
  15. でも、一人でいることにも耐えられない
  16. 相手に依存したいけど、依存するのが怖い
  17. 感情が爆発して、後で後悔することが多い
  18. 安定した関係よりも、波乱万丈な関係の方が「愛情」に感じる

このタイプの人の内面

こんな風に感じていませんか。

「恋愛がジェットコースターみたいです。好きになると『この人しかいない』と思い込んでしまう。でも、相手が少しでも期待と違う行動をすると、『やっぱりダメだ』と絶望する」

「相手が優しくしてくれると嬉しいけど、同時に『いつか裏切られる』と怖くなる。近づきたいのに、近づくと怖い。この矛盾で自分でも疲れます」

「感情が激しすぎて、自分でもコントロールできない。爆発して、後で『なぜあんなことをしてしまったのか』と後悔する」

もしこうした感覚があるなら、あなたは恐れ回避型の愛着スタイルを持っているかもしれません。

なぜこうなったのか

恐れ回避型は、親が安全の源であると同時に、恐怖の源でもあった環境で形成されます。

虐待やネグレクトがあった家庭、または親自身が精神的に不安定だった家庭で多く見られます。子供は親を頼りたいのに、その親が怖い。近づきたいのに、近づくと傷つく——この矛盾した経験が、「愛情」と「恐怖」を結びつけてしまうのです。

親を愛していたし、愛されたかった。でも同時に、親が怖かった——その経験が、大人の人間関係でも再現されてしまいます。

このタイプの強み

恐れ回避型の人の強みは、深い感受性と複雑な状況への理解です。

矛盾した感情を同時に抱えてきたため、人間の複雑さや曖昧さを理解できます。
また、痛みを知っているからこそ、他者の痛みにも敏感です。

深く傷ついた経験があるからこそ、誰よりも「本物の愛情」を求め、それを大切にしようとする気持ちも強いのです。

【Dさん(31歳・女性)の場合】
「恋愛がジェットコースターみたいです。好きになると、『この人しかいない』と思い込んでしまう。でも、相手が少しでも期待と違う行動をすると、『やっぱりダメだ』と絶望する。相手が優しくしてくれると嬉しいけど、同時に『いつか裏切られる』と怖くなる。自分でも疲れます」

Dさんの母親は、精神的に不安定でした。優しい日は本当に優しいけれど、突然キレて怒鳴りつけることもあった。Dさんは母親を愛していたし、母親に愛されたかった。でも同時に、母親が怖かった。「愛情」と「恐怖」が、Dさんの中で切り離せなくなっていました。

その経験が、恋愛でも再現されているのです。


複数のタイプにまたがる場合

ここまでのチェックリストで、一つのタイプに完全に当てはまりましたか。

それとも、「複数のタイプの要素がある」と感じたでしょうか。

後者の方が、むしろ自然です。

一つのタイプに完全に当てはまらなくても大丈夫

人間は、心理学の教科書に出てくるような「純粋型」ばかりではありません。

多くの人は、主なタイプがありながらも、他のタイプの要素も持っています。

たとえば:

  • 「基本は不安型だけど、親しくなりすぎると回避型の面も出る」
  • 「友人関係では安定型だけど、恋愛になると不安型になる」
  • 「職場では回避型だけど、家族には不安型の側面が出る」

こうしたことは、よくあるのです。

状況や相手によって変わる

愛着スタイルは、相手や状況によって変化することがあります。

心理学者フィリップ・シェイバーとマリオ・ミクリネールの研究によれば、愛着スタイルは「関係特異的」——つまり、誰との関係かによって異なる——という側面があります。

たとえば、安全だと感じる相手には安定型の行動を取れるけど、不安を感じさせる相手には不安型や回避型になる、ということがあり得るのです。

主タイプと副タイプの考え方

もし複数のタイプに当てはまると感じたら、「主タイプ」と「副タイプ」という考え方が役立つかもしれません。

主タイプ: 最も頻繁に現れ、最も深く共鳴するパターン 

副タイプ: 特定の状況や相手で現れるパターン

たとえば、「主に不安型だけど、時々回避型になる」という具合です。

混合型の存在

愛着研究の分野では、「不安回避型」とも呼ばれる混合型の存在も認識されています。

これは、不安型と回避型の両方の特徴を強く持つタイプで、前述の「恐れ回避型」に近い概念です。

近づきたいけど怖い。依存したいけど信頼できない。愛されたいけど愛されることが怖い——こうした矛盾を抱えています。

時間経過での変化もある

愛着スタイルは、時間とともに変化することもあります。

ある時期は不安型だったけど、安定した関係を経験して安定型に近づいた。またはストレスの多い時期に一時的に回避型になった——こうした変化は、決して珍しくありません。

だから、今のチェック結果が「永遠に固定された自分」を表すわけではないのです。


結果をどう受け止めるか

自己チェックを終えて、自分の愛着スタイルがある程度見えてきたでしょうか。

ここで、結果をどう受け止めるべきか、お伝えしたいことがあります。

自己理解の第一歩として

まず、自分のパターンに気づけたこと自体が、大きな一歩です。

今まで「なぜ自分はこうなんだろう」と悩んでいたことに、
答えが見えてきたのではないでしょうか。

なぜなら、気づいていないパターンは、無意識に繰り返されるからです
(詳しくは顕在意識と潜在意識で解説しています)。

でも、気づいたパターンには、「今回はどうするか」を選ぶ余地が生まれます。

これは「欠陥」ではない

あなたの愛着スタイルは、「欠陥」ではありません。

これは、幼少期の環境が作ったパターンです
幼少期の人格形成と毒親の影響参照)。

子供のあなたは、その環境で生き延びるために、最善の戦略を取りました。それは、あなたが弱かったからではありません。むしろ、強かったからです。

でも、大人になった今、そのパターンが足かせになっている

ただ、一つだけ問題があります。

子供の頃に必要だったその戦略が、大人になった今、足かせになっているということです。

環境が変わりました。あなたはもう、親に依存しなくても生きていけます。選択肢が増えました。

でも、脳の中のプログラムは、まだ更新されていません。だから、古いパターンが自動的に起動してしまうのです。

自分を責めないで

だから、自分を責めないでください。

「なぜ自分はこんなに不安なんだろう」
「なぜ感情を出せないんだろう」
「なぜいつも同じ失敗を繰り返すんだろう」

——それは、あなたが悪いのではありません。あなたが弱いのでもありません。

ただ、幼少期に学習したパターンが、今も動いているだけなのです。

変化は可能——「獲得された安定型」という希望

そして、ここが最も大切なことです。

愛着スタイルは、変えることができます。

幼少期に形成されたパターンは確かに強固です。簡単には変わりません。時間もかかります。でも、不可能ではないのです。

愛着研究の分野では「獲得された安定型(Earned Secure)」という概念があります。

これは、幼少期に不安定な愛着を経験したにもかかわらず、
大人になってから安定型の愛着スタイルを獲得した人々を指します。

心理学者グレン・ロイスマンらの2002年の研究によれば、獲得された安定型の人々は、幼少期から一貫して安定型だった人々と、成人期の機能において同等のレベルを示すことが明らかになっています。

つまり、出発点がどこであっても、安定した愛着スタイルを身につけることは可能なのです。

具体的な変化の方法

次のステップ——具体的な場面での理解を深める

この記事で、あなたは自分の愛着スタイルをある程度理解できたのではないでしょうか。

次の記事(3-5以降)では、具体的な場面で愛着パターンがどう現れるかを見ていきます。

恋愛、友人関係、職場——それぞれの場面で、あなたのパターンがどう動いているのか。そして、どうすれば変えていけるのか。

自分のパターンを意識しながら読むことで、さらに深い気づきが得られるはずです。

変化への道は、ここから始まります。


まとめ

自分の愛着スタイルを知ることの意義

愛着スタイルを知ることは、自己理解の大きな一歩です。気づいていないパターンは繰り返されますが、気づいたパターンには選択の余地が生まれます。


4つの愛着スタイル(2軸モデル)

🔵 安定型: バランスの取れた人間関係を築ける
🟠 不安型: 見捨てられ不安が強く、相手の愛情を常に確認したがる
🟢 回避型: 親密さを避け、感情的な距離を保とうとする
🔴 恐れ回避型: 親密さを求めながらも恐れる


重要なポイント

✅ 完全に一つのタイプに当てはまらなくても大丈夫
✅ これは欠陥ではなく、学習されたパターン
✅ 変化は可能 —「獲得された安定型」への道は開かれている
✅ 気づきが変化の始まり


あなたは変われます。一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう。


次回予告

今回、自分の愛着スタイルをチェックしました。

4つのタイプのどれかに、あるいは複数のタイプに、あなたは当てはまったかもしれません。そして、「なぜ自分がこうなのか」の理由も見えてきたのではないでしょうか。

次回は、恋愛に出る愛着パターンの特徴をテーマに、さらに具体的に見ていきます。

  • デートでの行動パターン
  • LINEや連絡のやり取りでの特徴
  • 喧嘩や対立が起きた時の反応
  • 関係が深まる時の心理
  • パートナー選びの傾向

自分のタイプを意識しながら読むことで、「ああ、だからあの時あんなことをしてしまったのか」と、さらに深い気づきが得られるはずです。

恋愛での「いつものパターン」の正体が、見えてきます。

シリーズ記事

あなたの愛着パターンには、理由があります。そして、変化は可能です。

次回も、一緒に理解を深めていきましょう。


参考文献・エビデンス

  1. Bartholomew, K., & Horowitz, L. M. (1991). “Attachment styles among young adults: A test of a four-category model.” Journal of Personality and Social Psychology, 61(2), 226-244.
    • 成人愛着の4分類モデル(安定型、不安型、回避型、恐れ回避型)の原典。自己イメージと他者イメージの2軸による分類。
  2. Hazan, C., & Shaver, P. (1987). “Romantic love conceptualized as an attachment process.” Journal of Personality and Social Psychology, 52(3), 511-524.
    • 成人の恋愛が幼少期の愛着プロセスと本質的に同じメカニズムで起きていることを実証した画期的研究。
  3. Brennan, K. A., Clark, C. L., & Shaver, P. R. (1998). “Self-report measurement of adult attachment: An integrative overview.” In J. A. Simpson & W. S. Rholes (Eds.), Attachment theory and close relationships (pp. 46-76). Guilford Press.
    • Experiences in Close Relationships (ECR)尺度の開発。成人愛着スタイルの測定方法として広く使用されている。
  4. Roisman, G. I., Padrón, E., Sroufe, L. A., & Egeland, B. (2002). “Earned-secure attachment status in retrospect and prospect.” Child Development, 73(4), 1204-1219.
    • 「獲得された安定型」の概念を実証。幼少期に不安定な愛着を経験しても、大人になってから安定型を獲得できることを明らかにした。
  5. Mikulincer, M., & Shaver, P. R. (2007). Attachment in Adulthood: Structure, Dynamics, and Change. Guilford Press.
    • 成人愛着の包括的研究。愛着スタイルの変化可能性、関係特異性、状況依存性について詳述。
  6. Main, M., & Goldwyn, R. (1984-1998). Adult Attachment Interview (AAI). Unpublished manuscript, University of California at Berkeley.
    • 成人愛着面接法。愛着スタイルを評価するための半構造化面接。
  7. Fraley, R. C., & Roisman, G. I. (2019). “The development of adult attachment styles: Four lessons.” Current Opinion in Psychology, 25, 26-30.
    • 愛着スタイルの発達と変化に関する最新の知見。神経可塑性による変化の可能性を支持。

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